私が毎年、真冬のこの時期に北欧を訪れる目的の一つが、北欧最大級の国際家具見本市「ストックホルム ファニチャーフェア」の視察です。どんな新しいトレンド、製品、人と会えるのかワクワクしながら、今年ももちろん、厳寒のストックホルムへ行ってきました。広いフロアに約700のブース(約30カ国から、うち80%が北欧)が配置された見本市会場は例年通り、バイヤーや建築・デザイン関係者、メディアの人々などで大賑わい! 2月3日〜7日の会期中、世界60カ国から約4万人がフェアを訪れたそうです。
ゲスト・オブ・オーナーとして今年のメインエントランスのラウンジデザインを手掛けたのは、イギリスの人気インテリアデザイナー、イルゼ・クロフォード(Ilse Crawford)。“Question time”と名付けられた作品の壁には“What is new?”などいくつかの問いが掲げられ、来場者は備え付けのペンと紙で自由に意見を書き込み、コルクの壁に貼ることができました。
“What does sustainable design mean to you?(あなたにとって、持続可能なデザインとは)”、これはクロフォードが私たちに投げかけた問いの一つです。ある来場者はこう答えていました。“A production line which does not hurt anyone.(誰をも傷つけない生産)”。今年のフェアでは、多くの出展者が「環境への配慮」についての意識をこれまでより強く打ち出しているように感じました。この家具は、どこで、どんな材料を使って、どのように作られているのかを消費者に分かりやすく表示する……。まるで食品の安全性の話のようですね。今後、この傾向はますます強くなっていくであろうことを肌で感じました。明るい色の木材だけでなく、ブナのベニヤや植物のなめし皮など、環境に優しいユニークな材料を使った製品を展示するブースも多く見られました。
オフィスファニチャーの各社の展示では、環境への配慮に加え、引き続き、オフィスの縮小化への対応がテーマの一つのようでした。サイズは小さくても、使う人がより快適に感じられる機能美あふれるオフィス家具を……。あるブースの担当者は、「皮ばりのアームチェアの快適さを損なうことなく、どのくらい細くできるかに挑戦したんだ」と、32センチの幅しかないけれど、高い背もたれとソフトなパッドの座面、背もたれの下部に腰を支えるプロテクションのある、デザイン性の高いアームチェアを紹介してくれました。
ヨハンソン デザインをはじめ、私たちスカンジナビアン モダンが日本に紹介している北欧家具ブランドのブースに足を運び、担当者と最近の流行などについて話をし、さらに、新しいブランドや製品を求めて、広い会場をとにかく歩き回った、今回のファニチャーフェア。そこで経験したたくさんのステキな出会いを新しい商品やアイデアにかえて、日本の皆さんに今後も紹介していきます。
【ストックホルム ファニチャーフェア 2015】
会期:2015年2月3日〜7日
場所:スウェーデン・ストックホルムの見本市会場
来場者数 :39,987人
うち海外からの来場者:6,635人(約60カ国)
出展社数:711社
うち海外からの出展社:314社(80%が北欧)
展示スペース:70,000㎡