2013/08/12 [コラム] ミンデと再会した夏

スウェーデンを含めヨーロッパ人は一般的に保守的な傾向にあり、とにかく古いものを大切にします。ストックホルムやヨーテボリの中心地を歩くと築100年以上の風情のある建物があちこちに立ち、半世紀より若い建物はむしろ珍しいくらい(もちろん、建物の内部は何度も改装が繰り返され設備的もデザイ的にも
モダンですが)。

スウェーデンで家を買うということ=古い家を買ってリフォームするということ。 これは改修プロジェクトです。古い建物を取り壊して、いちから新しい家を建てることはめったにありません。実際、築年数がその建物の価値になることが多く、とくにサマーハウスは古いほど味があって素晴らしいとされています。

この“古いものを大切にする”ことにおいては、Kjell Fornander(シエルフォーナンだー)は筋金いり! 1976年から彼は1903年に建造されたノルウェーのボートを改修するのに、すでに10年を費やしていました。そのボートの名は“ミンデ(Minde)”(ノルウェー語で「メモリー」という意味)。おんとし110歳の、まだセーリング現役のウッドボートです。プラステックのボートと違いウッドボートのメンテはそれはそれは大変な事です。

日本で暮らすようになってからも、スウェーデンに帰国するたびにミンデの世話をしていたのですが、次第にそれも難しくなっていきました。そしてとうとう2年前、ミンデを手放すことを決意。幸い、彼女の生まれ故郷のノルウェーで新しいオーナーを見つけることができました。

私たちはこの夏、スウェーデンにいる間に、ミンデ、そしてミンデの新しいオーナーのオーレに会うためにノルウェーまで車を走らせました。オーレは目下、3年計画でミンデの改修を進めています。完成した暁にはミンデがどんな美しい姿を見せてくれるのか、私も今から楽しみです。きっとこの先何十年も北欧の海をセーリングするのでしょうね。